ユース世代がSDGsを議論する第1回目のサミット
2030年の社会で中心的な活躍を期待される若者が、SDGsを自分事として捉えた取組について考え、議論する機会として設けられたのが「第1回静岡市SDGsユースサミット」です。
国連の「SDGsハブ都市」に位置づけられている静岡市。
10月31日(日)に国連の記念日の一つである「世界都市デー」に合わせ、若者主体でSDGsとまちづくりを自分事と捉えた取組について議論し、「持続可能な社会の構築に向けたメッセージ」を世界に向けて発信するため、このサミットを開催することとなりました。
高校生、大学生、専門生、社会人、同世代の若者たちが、SDGs の活動を通じてまちづくりの魅力を話し合いながら、自分たちにできることを考えていきます。
このサミットに参加し、持続可能な社会の構築に向けたメッセージを世界に向けて発信した一人が、本校インテリアデザイン科2年の浦田美祐さん。
出演にあたって意識していたのは、同じ静岡市内でSDGs活動を行う同世代の活動に共感し、繋がりを持つことでした。
SDGsへの具体的な取り組みを発表
浦田さんが発表したのは「デザインの力でできること~知的障がい者の働く場・アートカフェの提案~」というテーマ。
シズデが静岡県下の専門学校で初めてSDGs宣言をしたことや「TRY SDGs!」の合言葉で活動を行っていることを伝えた後、自身が所属する「シズデTRY SDGs学生プロジェクト」をはじめ、シズデの学生たちが行っているSDGs活動について紹介をしていきました。
産学連携プロジェクトで経験した障がい者のためのデザイン提案
発表の中心となったのは「障がい者・地域社会・はたらく環境」、それぞれがどのようにSDGsの目標達成に繋がっていくのか、ということ。
インテリアデザイン科で、日々あらゆる人が幸せに暮らせる空間について学び、産学連携プロジェクトの中で経験したことや感じたことを、パワーポイントの資料を使いながら伝えていきます。
産学連携プロジェクトで経験した課題が「資格障がい者のための公共トイレのデザイン」、「障がい者の働くカフェデザイン」、さらには「知的・精神障がい者のためのグループホームと隣接するカフェの外観デザイン」など、いずれも障がい者に関わるデザイン提案であったことに触れ、その中から「知的障がい者が働くためのカフェデザイン」について具体的な内容を発表していきました。
提案のために行った5つの工程について説明
デザインの提案にあたって、浦田さんは5つの工程を踏まえていました。
「知る」「視る」「体験する」そして「課題を発見」し、「デザイン」に展開するという5つの工程から、実際に行った活動を紹介していきました。
障がいには大きく分けて4つの種類があると知ったこと、カフェのデザインを提案するために4か所の施設の見学に行ったこと、目隠しをして一日を過ごしたり買い物をするなど、障がい者の生活を実際に体験したこと。こうした工程を経て課題を発見し、「障がい者のための」「自分らしく働く場を」「私なりのアイデアでデザインし」「障がい者とわたし達の間の壁を壊す」というパズルをつくり、これを目標に掲げて制作へと進んでいったという浦田さんの話にはとても説得力がありました。
実際に提案したカフェのデザインも紹介
4つを全て埋めることで、問題解決の道がやっと見えてくる。
デザインするという最後の工程を、浦田さんはパズルのように考えているそうです。
こうして完成したデザイン案やそのコンセプトも、実際に紹介されました。
若い人でも立ち寄りたくなる、障がい者と健常者の架け橋となるお店にしたいという要望を受けて考えられたデザイン。
「視る」という工程で訪れた障がいをもつ方々の働く場で描かれていたかわいらしいタッチのイラストや個性的なアート作品を目にし、その素晴らしさをもっと多くの人に知ってほしいという思いから、アートカフェというコンセプトや空間にあったユニフォームデザインが生まれています。
浦田さんは、発表の最後をこう締めくくりました。
SDGsはあらゆる人々みんなでつくる大きな一つのパズルなのだと思うようになったのです。
この一年半の活動を通して、自分ひとりでは解決できない問題も、仲間と思いや情報を共有しあい、様々な人の繋がりや出会いを通して考えを深めていけば、問題解決の糸口が見えてくることを実感しました。
これからも、大きなパズルの1ピースとして、目を背けず、手を差し伸べるべき問題に対して、自分のデザインの技術や知識で何ができるのか考えていきます。
そして「誰一人取り残さない」というSDGsの目標達成のため、地域共生社会の実現のために、デザインの力が役立つことを信じて学びを深めていきます。
同世代の活動やその経験から得た考えを知った浦田さん。そして、浦田さんを通じて発信されたシズデの活動。
このサミットをきっかけに、世界がさらに、持続可能な社会の実現に向かっていくことを願っています。